集合の濃度
集合論では、 2つの集合の元の間に1対1の対応が付けられるとき、 その2つの集合は同等の性質を持つということで 「「同値」である」 といいます。 2つの集合の元の数が等しければ、 その2つの元の間に1対1の対応を付けることができ、 互いに同値であることが示されます。
一方、 「自然数」、 「整数」、 「有理数」、 「実数」、 「複素数」 等の集合はいずれも無限集合です。 無限集合というのは、 元の数を自然数で表せないということです。 ところが、 自然数、整数、有理数の3つは互いに(集合的には)同値で、 実数、複素数の2つも互いに同値であることが示されますが、 自然数と実数は同値ではないということが証明できます。
無限集合という意味では自然数も実数も無限集合ですが、 同値ではない2つの集合を同じ「無限」という言葉で片付けてしまうのは少し気が引けます。 そこで生まれる概念が「濃度」です。
詳しくは「濃度」を見てもらうことになりますが、 この濃度という概念を用いると、 自然数の元の数に相当するものと 実数の元の数に相当するものの大小(いずれも無限)を比較することが出来ます。
しかしながら、この濃度の和や積は、 実数等の和や積のようなよい性質は持っていません。 ( 「分配法則」が成り立たなかったり、 「逆元」を持っていなかったり。 ) したがって、濃度は実数等の所謂「数」と同じ扱いをすることはできません。
まとめ
自然数を拡張して、無限集合の「元の数」に相当する概念である「「濃度」」というものが考えられています。
濃度の概念を導入すると、無限の大きさの量の間で大小比較や和、積の計算が出来ますが、 その和・積はあまりよい性質を持っておらず、 実数等と同列に扱うことは出来ません。