概要
広告収入、情報集約、表現媒体など、 教科書的な情報発信サイトのあり方についてちょっと考えてみた。
教科書的サイトと広告収入
最近、うちのサイトは広告貼るようになったわけですけども、 改めて他のサイトをめぐってみて思ったのは、 「教科書的なコンテンツ書いてるサイトで、 広告収入得てるところは少ないよなぁ」ということ。
大した収入にならなさそうって意識があるのかもしれないし、 営利目的色を出さない方が受けがいいのも確か。 でも、広告を貼るようになって半年くらい経つ僕から、 そういう風に思っている方々に向けて、ちょこっとメッセージを。
うちなんかも、一番の目的は、 「多くの学生に早いうちから高度な内容に触れて欲しい」 というようなものであって、儲けを出すことが目的じゃない。 それでも、 本当にそう思っていたって、 お小遣い程度の小額とはいえ広告収入が入るとテンションが上がります。
「お金の問題じゃない」、 「営利にするのはなんかいやらしい」とか思ってたって、 お小遣いが入ることによってやる気が出て、よりよい記事が書けるなら、 有益なことだと思います。
ちなみに、まあ、ついでなんで収入の程度を書いてしまうと、 10~30ページビュー辺り1円くらいの率。 広告の貼り方とか、広告主の種類によっても額は変わりますけど。
広告を貼ることに関しては、このサイトの運営経験上、 うちくらいの貼り方なら、来訪者は減りません。 昔ほどネット広告に対する拒絶感はなくなってると思うし、 Google AdSense の広告は控えめだし。
IT 系しか人が来ない?
IT 系情報発信サイトってのはよく見るけども、 その他の分野で教科書的な記事を載せてるサイトってあんまり大きな所はないですよね。 他で大きいサイトがあるのは英語教育くらいかな。 それ以外では営利でやってるサイトはほとんど皆無だし。
やっぱり、非 IT 系の情報をネットで探すユーザってのがまだ少ないんだと思う。 市場規模が小さくて儲けにならない。 (もちろん、そういう情報をネット上に公開できる執筆者の方もまだ少ないでしょうけど。) このサイトも、C# 関連の記事へのアクセスが全体の大半を占めてますからね。 (充実度的に言っても C# 関連の記事が一番だし、 ネット検索結果のヒット率が高いのも C# がらみのキーワードではありますけど。)
他の数学・物理関係の記事を書いてるサイトのアクセスカウンタとかを見てみても、 うちよりもよっぽど記事の量そろってるのにアクセス数はそんなに多くなかったりしますし。 (まあ、うちは、運営してる僕が情報系の人間なんで、 流石に検索エンジン対策も結構しっかりしてますけど。) あと、要望が多いのか、数学・物理の記事と一緒にプログラミングの記事を載せてるページも結構多い。
まあ、現状はそんなのですけども、将来的にはどうなっていくんでしょう。 ネットでの話題を見てると、 最近の子供はもう、「物心付いた頃には2ちゃんねらー」みたいになってますし。 そういう子供たちが高校・大学と成長してくると、 ネット上での非 IT 系の教科書的記事の価値が出てくるかも。
「何年先だ」って話ですけどね。 営利で何かやりたいとき、 「これは5年後には絶対に流行る」みたいな物に手を出しちゃいけないって言われたりもしますし。 (「下準備に5年かかって、5年後に流行りそうなもの」なら今から始めないと駄目ですし、 「5年間低コストで運営を続けられて、5年後の流行が来たらかかったコストを回収できる」とかならやっといてもいいでしょうけど、それ以外の場合は失敗する可能性大。)
情報の集約
「より多くの人により高度な内容に興味を持ってもらう機会を作りたい」とかえらそうな事言っても、 個人で書ける記事の量なんてたかが知れてるんですよね。 で、今、ネット上には個人の書いてる細々とした記事が散乱している状態。
情報は一箇所に集まってた方が有益なんですよね。 その方が人の目に触れる機会が高まる。 で、情報集約のためのアプローチとしてはいくつかあると思います。
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誰かがリーダーシップを取って、記事を一箇所に集める。
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楽天市場のノリで、記事執筆スペースを貸し出す。
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一箇所に集約するのはあきらめて、ネット検索をより強化することで情報集約と同様の効果を得る。
最初のは、情報の集約を目指して頑張ってるサイトが1つあるんですよね。 物理のかぎしっぽプロジェクト。 最近、結構記事を書いてくれるメンバーが増えてきたらしい。 いいことだと思う。 僕も支援しようかしら。
次の、 楽天市場のノリでってのは、 例えば、「記事執筆のためのインフラを貸します。 広告収入斡旋します。 キャンペーンや校正等のお手伝いもします。 検索機能も提供します。 その代わり、マージン取らせていただきます。」という感じ。 まあ、まだ今の時代、こんなことやっても運営とかに掛かるコストを回収できない気がしますけど。
最後のは、まあ、ネット検索の重要性が強く認識される昨今、 当たり前といえば当たり前のことなんですけど。 でも、数学や物理関係の記事となると、数式とかの検索がいまいちなんですよね。
数式検索、そのために MathML
数式検索の問題、 いろいろあるんですが。 まず、数式には「見た目は違っても意味は一緒」みたいな場合が多々ある。 それから、ネット上で公開されてる数式は、 画像化・PDF 化されてるものが多くて、 元々数式の持つ意味が失われてる。
まあ、こういう問題に対して取り組んでる人がいないかというとそうでもなくて、 筑波大でそういうのやってる人はいるみたい。 数式の意味検索。 でも、MathML の流行が前提。
結局、MathML ってあんまり流行らないよなぁ。 1個だけそこそこ大きいサイトで MathML を活用してる所があるけど。 そこを IE で見るためには MathPlayer っていうプラグインが必須。
MathML は、 (元々そういう目的ではないんで当然だけど)人間が手書きするには向いてないのが問題かなぁ。 数式を書くのに専用の GUI アプリ上でマウス使ってグリグリやりたくないですし。
他はというと、以下のうちのいずれかかな。
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TeX で書いて PDF 化して公開
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TeX で書いて LaTeX2HTML 通して公開
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Wiki(TeX で数式が書ける拡張機能付きのやつ)
PDF 化されると、「x の文字をこの位置に表示して・・・」みたいなデータになってしまって、 データ上は元々の数式の意味が保たれませんしねぇ。
後の2つは、方式としては、「LaTeX のコンパイル結果を gif 画像化+ <img> タグの alt 属性に LaTeX ソースを入れておく」という形になるんで、 alt の部分を見れば元の意味が分かるんですけど。 でも、利用者側でフォントサイズの拡大・縮小ができなかったり、 画質の問題でいまいち見づらくなる場合があったり。 「元の意味が分かる」っていっても、 TeX って結局、視覚レイアウト的な要素が強くて、 論理的ではなかったりする部分も少々ありますし。
うちの場合、TeX でも MathML でもなく
うちでは、意地でも HTML で数式を書いてますからね。 かなり独特。 正確には、XML で書いて XSLT で HTML に変換してるんですが、 XML の形式は MathML ではなくて独自方式。 (参考: 「勉強用ページの XSL」、「勉強用ページの XSL」。)
MathML じゃなくて独自方式になっちゃったのは、 やっぱり MathML が手書きに向いたものじゃないから。 テキストエディタだけ使って人手で書きやすいものを考えてたら独自になっちゃった。 (今思えば、 MathML を出発点にして、頻繁に使うものに省略形を用意して、 記述の手間を削っていくとかしてもよかったかも。)
LaTeX2HTML なんかと比べたときの利点というと、 画像ではなくてあくまで HTML で書かれてるんで、 拡大縮小に強いし、検索エンジンにも引っかかるとか。 あと、IE 自体が XSLT の機能を持ってるんで、 コンパイル作業を経なくても XML ファイルをダブルクリックするだけで直接 IE で開けて、 IE だけあれば(プラグインや Acrobat Reader なしで)読める。
でも、独自故に、自分以外の人には書けないですからね。 この方式が流行ることはないかなぁ。 せめて、MathML+省略記法とかなら流行る可能性ありそうだけど。 仕様を詳細に公開しているわけではないですし、 随時新しいタグを足しててどんどん仕様が変わってますし。 というか、僕の場合は、元々 HTML のタグの手打ちにかなり慣れてるから、 XML 入力も難なくこなすんですけど、普通は TeX の方が使いやすいでしょうしね。