保存場とソレノイダル場
回転が0のベクトル場を保存場といい、発散が0のベクトル場をソレノイダル場といいます。
回転が0のベクトル場を保存場と呼ぶのは、閉路上の線積分が必ず0になり、エネルギー保存則が成り立つからです。 また、発散が0のベクトル場をソレノイダル場と呼ぶのは、ベクトル場の流線が渦を巻いたような形状をしているからです。 以下に保存場およびソレノイダル場の特徴を挙げます。
保存場 | ソレノイダル場 | ||||||
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∇× F = 0 (回転が常に0) | ∇・ F = 0 (発散が常に0) | ||||||
任意の閉路Cに対して
∮
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任意の閉曲面Sに対して
∮
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線積分の値は経路によらず、その始点と終点のみによって決まる | 面積分の値は曲面の取り方によらず、曲面の外周の形状のみによって決まる | ||||||
−∇φ = F となるスカラー場 φ (スカラーポテンシャル)が必ず存在する | ∇× A = F となるベクトル場 A (ベクトルポテンシャル)が必ず存在する |
ちなみに、任意のベクトル場は発散が0の部分と回転が0の部分に分割することが出来ます。 すなわち、任意のベクトル場 F は ∇×F1 = 0 を満たすベクトル場 F 1 と、 ∇・F2 = 0 を満たすベクトル場 F 2 を用いて
F = F1 + F2
と言う風に分割できます。 これは言い換えると、 F はあるスカラー場φとあるベクトル場 A を用いて、
F = −∇φ + ∇×A
とあらわすことが出来るということです。