以下のような形式の積分を考えます。
ただし、
φ は有理関数、
p(x) は4次の多項式です。
このような形式の積分の代表例として、
楕円の弧長計算が挙げられます。
そのため、この形式の積分を楕円積分(elliptic integral)と呼びます。
同じような形式の積分でも、
p が2次の多項式の場合には、
x = sinθ と置いて変数変換することが出来ます。
また、p が3次の多項式の場合には、
p の実根のうちの1つを α として、
x - α = y2 と置いて変数変換することで、
4次の場合に帰着することが出来ます。
このような形式の積分は、
p が2次の場合には簡単に解析的に計算できますが、
3次・4次(楕円積分)になると、解析的には解けず、その性質も非常に複雑です。
そのため、楕円積分の性質に関する理論は、それだけで本1つになるほどのものです。
一般形
式変形を繰り返すと、楕円積分は以下のいずれかの形式に帰着
∫
x2dx |
√((1 - x2)(1 - k2x2)) |
∫
dx |
(x - a)
√((1 - x2)(1 - k2x2)) |
ただし、|k| < 1。
これらは、x = sinφ, Δ(φ) = √(1 - k sin2φ) と置くと、以下の3つのパターンのいずれかに帰着します。
これらを上から順に、
第1種不完全楕円積分 F(φ, k) (incomplete elliptic integral)、
第2種不完全楕円積分 E(φ, k)、
第3種不完全楕円積分 Π(φ, k) と呼びます。
特に、φ = π/2 のとき、完全楕円積分(complete elliptic integral)と呼ぶ。
第1種完全楕円積分は K(k) = F(φ, k) と書き表す。